高齢者も安心して使える浴室に!福祉用具とバリアフリーリフォームのすすめ
- firstcare1
- 4月1日
- 読了時間: 10分
更新日:5月16日

【目次】
はじめに:浴室の事故は意外と多い?今こそ見直してほしい入浴環境
ご高齢の家族がいる方にとって、毎日の入浴は心配の種ではないでしょうか。
実は、家庭内での高齢者の事故の多くが「浴室」で起きています。
特に多いのが、濡れた床での転倒や、脱衣所と浴室の温度差によるヒートショックなど。
こうした事故は、命に関わることもあります。
ですが、適切な福祉用具の導入やリフォームによって、浴室での危険を大きく減らすことができます。
この記事では、高齢者が安心して使える浴室をつくるためのポイントを、わかりやすくご紹介します。
入浴を支える!おすすめの福祉用具の活用術
≪浴室用手すりの取り付け≫
お風呂場での立ち上がりや浴槽の出入りは、意外とバランスを崩しやすいです。
そんなときに頼りになるのが、つかまることで安定感が得られる「浴室用手すり」です。
手すりにはいくつかの種類があります。
壁にしっかり固定するタイプ:工事が必要ですが、グラつきがなく、長く安心して使えます。お住まいが持ち家の方にはとくにおすすめ。
吸盤式や据え置きタイプ:壁に穴を開けずに設置できるので、賃貸住宅や一時的な使用にもぴったりです。簡単に取り外しできるのも魅力ですね。
手すりの設置場所は、浴槽の出入り口・シャワーの前・洗い場から立ち上がる位置などがおすすめです。
使う方の身長や利き手、動作の癖に合わせて選ぶと、より安心して使えます。
≪シャワーチェア(入浴用いす)≫
「お風呂でずっと立っているのはちょっとつらいな…」という方には、入浴用のイス「シャワーチェア」が心強い味方です。
おすすめは以下のような機能があるタイプです。
背もたれ付き:ゆったりもたれて休める
ひじ掛け付き:立ち上がりのときにしっかり支えられる
高さ調整が機能付き:足のつき方をあわせられる
プラスチック製は水に強く、お掃除もしやすいので清潔に保ちやすいのも嬉しいところ。
お風呂の時間が「がんばる時間」ではなく、「ほっとできる時間」になるようサポートしてくれます。
≪浴槽台・浴槽内すのこ≫
「浴槽が深くて、またぐのがこわい…」という声をよく耳にします。
そんなときは、浴槽の底をかさ上げするアイテムを活用してみましょう。
浴槽台(バスボード):浴槽の中に置いて、底を高くすることで、立ち上がりや出入りをしやすくします。
浴槽内すのこ:浴槽全体に敷いて、段差を少なくします。滑りにくい素材が使われているものも多く、安心感があります。
これらの道具は、使う人の負担を軽減するだけでなく、介助される側・する側、両方の安全と負担軽減に大きく役立ちます。
≪移乗用のリフト・スライドボード≫
介助が必要な方の入浴には、「移動」のサポートがとても大切です。
そんなときは、リフトやスライドボードといった道具の出番です。
入浴用リフト:浴槽の外から中へ、椅子に座ったまま電動でゆっくり移動できる装置です。 力を使わずに、安全に入浴ができるため、ご本人も介助者も安心して使えます。
スライドボード:車椅子やイスから浴槽の中へ体をずらしていく際に使います。 滑りやすい素材で、体を支えながら移動できるので、無理なく自然な姿勢で移乗できます。
介助をするご家族にとっても、腰への負担が減ることは大きなメリットです。
無理なく、笑顔で入浴を続けるための大切なアイテムになります。
安全な浴室にするためのバリアフリーリフォームのポイント
≪段差の解消と滑りにくい床材への変更≫
浴室の出入り口や浴槽周辺に段差があると、つまずきや転倒のリスクが高まります。
これを解消するために、段差をなくしたフラットな床にリフォームするのがおすすめです。
さらに、滑りにくく柔らかい素材の床材を使えば、濡れても安心。
転んだときの衝撃も和らげてくれます。
【浴室】におすすめの床材
■ 塩化ビニル樹脂(ビニル系シート床材)
塩化ビニル樹脂は、やわらかく、クッション性があるのが特徴の床材です。
水にも強く、滑りにくい表面加工がされているタイプが多く、高齢者向けの浴室リフォームにもよく使われています。
メリット:
素足で触れても冷たさを感じにくい
転倒したときの衝撃をやわらげる
表面に防滑加工がされている
比較的簡単な施工で導入できる場合もある
■ FRP(繊維強化プラスチック)
FRPは、一般的なユニットバスの床などに使われている素材で、軽くて丈夫、水にも強いという特徴があります。
表面に滑りにくい加工を施したタイプもあり、日々のお手入れがしやすいのも魅力的です。
メリット:
耐久性が高く、汚れも落としやすい
ユニットバスに多く採用されている安心感
注意点:
表面が摩耗すると滑りやすくなるため、定期的な点検が必要です
■ 磁器タイル(ノンスリップタイプ)
磁器タイルは高級感があり、水に強くて清潔に保ちやすい素材です。
ただし、選ぶときは「滑り止め加工」がされたタイプを選ぶことが大切です。
メリット:
耐水性・耐久性が高く、長持ちする
汚れやカビに強い
注意点:
素材が硬く、万が一転倒するとケガのリスクが高いため、クッション性を補うマットなどの併用がおすすめです
【脱衣所】におすすめの床材
■ 塩化ビニル樹脂(クッションフロア)
脱衣所には、水に強く、お掃除もしやすい塩化ビニル樹脂の「クッションフロア」がおすすめです。
表面がすべりにくく、足腰への負担を軽減するクッション性があるため、ご高齢の方にも安心です。
メリット:
水はねや湿気に強く、脱衣所に最適
柔らかい踏み心地で安心感がある
デザインのバリエーションも豊富(木目調・石目調など)
■ 塩ビ系フロアタイル(硬質ビニルタイル)
クッションフロアよりも硬めの素材ですが、耐久性に優れていて、水や汚れにも強いのが特徴です。
滑り止め加工がされているものを選ぶことで、より安全に使えます。
メリット:
傷つきにくく、長く使える
高級感のある仕上がり
注意点:
施工には専門的な技術が必要な場合があります
■ 樹脂含浸木質フローリング(防水加工済)
天然木のような見た目ながら、樹脂を含ませて水に強く加工されたフローリング材です。
温かみのある空間をつくりながら、水まわりにも対応できる素材です。
メリット:
自然な風合いで、インテリアにもなじむ
表面の防滑加工で安全性も確保
≪浴槽の形状と高さの見直し≫
従来の浴槽は床からふちまで高さがあり、またぐのが危険なことも。
リフォームの際には、浴槽の交換もおすすめです。
最近では、手すりがついた浴槽や、浴槽の縁が広くてつかまりやすい設計のものも増えています。
■ またぎやすい「低めの浴槽」
浴槽のふちが低くなっていて、足を高く上げなくても入れるタイプです。
無理なくまたげるので、足腰に不安のある方にもやさしい設計です。
メリット:
入り口の高さが低く、スムーズに出入りできる
つまずきにくく、安心感がある
■ ゆったり座れる「ベンチ付きの浴槽」
浴槽の中に、軽く腰掛けられるようなベンチがついているタイプです。
深くしゃがむ必要がないので、楽な姿勢でお湯につかることができます。
メリット:
腰やひざに負担をかけずに、ゆったり入浴できる
介助が必要な場合もサポートしやすい設計
■ 安心してつかまれる「手すり付きの浴槽」
浴槽の内側やふちに、つかまれる手すりがついているタイプです。
入るときや立ち上がるとき、手でしっかり支えられるので、安心して動作ができます。
メリット:
立ったり座ったりがラクになる
後から取り付けられる手すりもある
■ 扉がついた「ドア付きの浴槽」
浴槽の側面に扉がついていて、またがずに中に入ることができます。
足を上げるのがつらい方や、車いすをお使いの方にも使いやすい構造です。
メリット:
濡れた床での転倒リスクがぐっと減る
ドアはしっかり閉まる設計で、水漏れの心配もない
■ シャワーだけでも快適な「シャワー浴用の簡易浴槽」
お湯につかるのが難しい方には、座ったままシャワーを使える簡易的な浴槽もおすすめです。
場所を取らず、省スペースで使えるものもあります。
メリット:
無理なく清潔を保つことができ、介助する側にもやさしい設計
スペースや状況に応じて導入できる
≪ドアの交換≫
浴室のドアが「内開き式」だと、転倒時にドアが開かず、救助が遅れる恐れがあります。
そのため、引き戸や折れ戸に変更することで、安全性と使いやすさが格段にアップします。
■ 引き戸(スライドドア)
壁に沿ってスーッと横に開くタイプのドアです。
開閉時に場所をとらず、力もあまりいらないので、とても人気のスタイルです。
メリット:
体を引かなくても開け閉めできるので、転倒のリスクが少ない
介助が必要なときも、スペースを広く使えるので安心
■ 折れ戸(折りたたみ式ドア)
中央で折れながら開くタイプのドアです。
もともとユニットバスなどに多く使われていますが、最近はバリアフリー仕様の折れ戸も増えています。
メリット:
開閉時にあまりスペースをとらないのが魅力
開けたままでもコンパクトに収まるので、お掃除もしやすい
リフォームで交換しやすいこともポイント
≪ヒートショック対策≫
冬場の寒い脱衣所から暖かい浴槽に入ると、血圧の急激な変化でヒートショックを起こす危険があります。
浴室暖房乾燥機や、脱衣所用の暖房機器を設置して、室温差を少なくすることで、このリスクを防げます。
■ 浴室暖房
浴室にあらかじめ暖房を入れておくと、入った瞬間のヒヤッと感を減らすことができます。
特にタイル張りのお風呂は冷えやすいので、事前に暖めておくだけで体への負担がぐっと軽くなります。
浴室暖房のポイント:
入浴前に10~15分ほど暖房をつけておくだけでOK
温風タイプや床面をあたためるタイプなど、さまざまな種類がある
換気・乾燥機能が一体になっているものもあり、カビ対策にも◎
■ 脱衣室の暖房
服を脱ぐときに感じる寒さも、実はヒートショックのきっかけになることがあります。
脱衣室に小型の暖房を設置しておくと、お風呂に入る前も、出たあとも安心して過ごせます。
脱衣室の暖房のポイント:
コンパクトな壁掛けタイプや、足元をあたためるパネルヒーターなどが人気
センサー付きで、自動でオンオフできる機種もある
電気式なので、灯油などを使わず安全に使えるものが多い
費用の負担を抑える!介護保険制度の活用方法
浴室のリフォームや福祉用具の購入には、介護保険の制度を利用することができます。
■ 住宅改修費(上限20万円)
手すりの設置や段差の解消などの工事が対象
最大20万円まで支給(1割〜3割自己負担)
1人につき1回限り(要支援・要介護認定が必要)
■ 福祉用具購入費(上限10万円/年)
シャワーチェアや浴槽台などが対象
年間10万円まで支給(1割〜3割自己負担)
毎年申請が可能
※利用にはケアマネジャーを通じたケアプランの作成が必要です。事前に相談しましょう。
↓ 詳しくはこちらの記事をご覧ください ↓
まとめ:安全・快適な浴室づくりで、毎日の入浴を安心時間に
高齢の方が、安全に、そして自分らしく入浴できることは、ご本人にとってもご家族にとっても、大きな安心につながります。
少しの工夫とリフォームで、入浴中の事故リスクを減らし、快適な生活を実現しましょう。
ご家族の「入浴中の不安」を「安心」に変えるために、できることから始めてみませんか?
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