自宅で介護をする際、福祉用具の選定は重要なポイントとなります。特に、福祉用具を「購入」するべきか、それとも「レンタル」するべきかは、介護者家族にとって大きな悩みの種です。どちらを選ぶべきかは、費用、使用期間、目的、さらには介護環境によって異なります。本記事では、購入とレンタルのメリット・デメリットを徹底比較し、それぞれの特長を理解した上で適切な選択ができるように解説します。
また、介護保険を活用する際のポイントや具体的な選び方についても触れていきます。
福祉用具を使用する際の購入とレンタルの比較
福祉用具を購入するかレンタルするかを決める前に、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
項目 | 購入する場合 | レンタルする場合 |
初期費用 | 初回でまとまった支出が必要。 | 初期投資を抑えられる。 |
ランニングコスト | 長期使用では費用が抑えられる可能性が高い。 | 長期間借りると購入より高くなる場合がある。 |
所有権 | 購入者の所有物になる。 | 業者の所有物のため、返却義務がある。 |
使用期間 | あり | なし |
最新モデルの利用 | 購入時のモデルを使用し続けるため、更新が難しい。 | 常に最新の機種を利用できる場合がある。 |
メンテナンス | 専門業者に自己負担で修理、点検を依頼することがほとんど。 | レンタル業者に依頼。費用は契約によって異なる。 |
不要時の処分 | 不要になった場合、自分で廃棄処理や譲渡を行う必要がある。 | 不要になれば業者に返却するだけで済む。 |
短期利用 | 短期間の利用には費用対効果が悪い。 | 短期利用に適しており、経済的。 |
保険や補助金 | 購入品によっては保険や補助が適用されない場合がある。 | 多くの場合、介護保険制度などの補助金や保険が利用可能。 |
福祉用具は購入とレンタルどちらを選ぶべき?その判断基準を徹底解説
福祉用具の「購入」と「レンタル」のどちらを選ぶべきかは、利用目的、期間、経済的な事情、利用者の状況によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを基に、どのように選択すればよいかを見ていきましょう。
1. 購入が適している場合
購入は、長期間の利用や特定の要件を満たした福祉用具が必要な場合に適しています。以下のような状況では、購入を選ぶことをおすすめします。
長期間利用する予定がある場合
購入は初期費用が高くなるものの、長期的に利用することでランニングコストを抑えることができます。例えば、車いすやベッドなど、一度購入すれば数年にわたって使い続けられるものは購入の方が経済的です。特に使用期間が明確でない場合は、購入しておくことで後々の負担を減らせます。
自分専用の用具が必要な場合
他人が使用していないため、長期間使う際の精神的な負担が軽減されます。また、利用者の体型や状態に合わせたカスタマイズも容易です。例えば、体の形状や動きにフィットする特殊な車いすやベッドなどは、購入品の方が適しています。
利用頻度が高い場合
日常的に使用する福祉用具は、頻繁に借りたり返却したりする手間を省くためにも、購入が向いています。特にトイレやお風呂関連の用具は、毎日の生活に欠かせないため購入を検討しましょう。
急な利用停止や緊急時に備える必要がある場合
購入品は所有物なので、必要なくなってもそのまま保有ができます。災害時や緊急時でも手元に確保できるため安心です。一方、レンタル品は在庫不足のリスクがあるため、突発的な状況には不向きな場合があります。
他の家族にも使う可能性がある場合
福祉用具は購入後、家族や知人に譲ることができます。例えば、親族間で同じような用具が必要な場合、一度購入しておけば、再利用することが可能です。
2. レンタルが適している場合
一方で、レンタルは短期的な利用や状況が変化しやすい場合に特に適しています。以下のような条件下ではレンタルを選択するのが良いでしょう。
利用予定が短期間の場合
入院後の一時的なリハビリや、手術後の一時的なケアなど、短期間のみ福祉用具が必要な場合は、レンタルが最適です。レンタルなら必要な期間だけ利用できるため、コストを最小限に抑えられます。
状況が頻繁に変化する場合
福祉用具は利用者の身体状況に合わせて選ぶ必要があります。特に、病状や体力が変わりやすい高齢者の場合、レンタルを選ぶことで必要に応じて用具を交換できます。例えば、体力が低下する前は歩行器を使い、後に車いすに切り替えるといった対応が可能です。
初期費用を抑えたい場合
購入にはまとまった初期費用が必要ですが、レンタルなら月々の負担で済みます。介護保険を利用することでさらに経済的な負担を軽減できるため、経済状況によってはレンタルが非常に有利です。
用具の試用が必要な場合
購入前に福祉用具の使い心地や適合性を試したい場合、レンタルは最適です。特に、初めて福祉用具を使用する場合や、複数の選択肢がある場合は、まずはレンタルで試してから購入を検討するのが安全です。
最新モデルを利用したい場合
レンタルは最新のモデルを利用しやすいという利点があります。例えば、技術が進化している電動車いすや特殊なベッドなど、常に新しい製品を試すことができます。購入後に新製品が出た場合、買い替えのコストがかかるリスクがないのも魅力的です。
3. 介護保険制度を活用した福祉用具の利用
介護保険制度を利用すると、福祉用具のレンタル費用を軽減できるため、経済的な負担が抑えられます。
車椅子や電動ベッド、移動用リフトなどはレンタルの場合、保険が適用されやすいのが特徴です。一方、購入品は保険が適用されないことが多く、一部の例外(ポータブルトイレや入浴補助具など)のみが対象となります。
利用時のポイント
ケアマネージャーに相談し、必要な用具が保険の対象か事前に確認しましょう。
保険適用を受けるには、認定を受けた業者からのレンタルが必要です。信頼できる認定業者を選びましょう。
介護保険制度を利用するには介護認定が必要です。要支援・要介護認定を受けた方のみ利用することができるので、利用対象に入るかどうか確認しましょう。
介護保険制度を活用することで、適切な福祉用具を経済的に利用しやすくなり、介護が必要な方とその家族の負担を軽減できます。
まずは市区町村やケアマネージャーに相談し、自分たちに合った利用方法を確認することが大切です。詳しくはこちらをご確認ください。(厚生労働省HPより)
介護保険制度について
介護保険における福祉用具
4. 具体的な例で見る判断の仕方
ケース1:長期介護が必要な場合
車いすや介護用ベッドなど、日常的に使用するものを長期間使う予定がある場合は購入がおすすめです。特に利用者の体型や好みに合わせた調整が必要な場合、購入することで快適性を高められます。
ケース2:短期間のリハビリ利用
術後の一時的なリハビリのために歩行器や手すりを使う場合は、レンタルを選ぶ方が合理的です。短期間で不要になる場合、レンタルならコストも手間も少なく済みます。
ケース3:状態が変化する高齢者の介護
初期は手すりや歩行器などで対応ができても、後に車いすやリフトが必要になる可能性がある場合、レンタルを選ぶとその都度適切な用具に切り替えられます。
最適な福祉用具選びのために
介護は長期に及ぶ場合が多く、家族の生活に大きな影響を与えます。レンタルと購入のどちらを選ぶべきかは、一律に決められるものではありません。使用期間、予算、目的、そして介護環境に応じて最適な選択をすることが重要です。
有限会社ファーストケアは設立当初より「福祉用具貸与事業者」の認定を受けており、福祉用具の選定や介護保険の活用方法についてのご相談を承っております。
専門資格を所持したスタッフが丁寧にアドバイスし、ご家族の状況に最適なプランをご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。
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